No.38 (労働組合員による印刷)

2016年4月16日

全アジア労働者階級への脅威安保法制を打倒せよ!

日米反革命同盟を労働者革命で粉砕せよ!

中国・北朝鮮を防衛せよ!

広がりを見せる反対の声と大衆抗議の只中で、安倍晋三首相の自民党率いる右翼政権は、2015 年 9 月 18 日深夜の参議院本会議で、「国家安全保障関連法」を強行採決した。この安保法は、 米国などの同盟国を支援し、またいわゆる集団的安全保障を追求する上で、日本の軍隊が海外 での戦闘に従事することを正当に認めるものである。象徴的なのは、この参議院本会議が、1931 年の日本帝国主義による中国侵略の発端となった「満州事変」の記念日に開かれたことである。

この新安保法の主要な目的は、中国に対する軍事的包囲を一層強化することである。その中 国は、1949 年の中国革命で資本主義支配の打倒を通じて生み出された官僚主義的に歪曲された 労働者国家である。こうした意図のなかで、日本は米帝国主義と緊密に連携しているのだ。米 国の巨大な軍事力には見劣りするが、日本の国家は約 25 万人の現役兵からなる常備軍(えん曲 的に「自衛隊」と呼ばれている)を備えている。日本は世界第 7 位の軍事予算を持ち、超静音 潜水艦など幾つかの分野で最高水準の軍事技術を保有している。日本政府は、2016 年度に向け、 第二次大戦以後この国の最高額となる軍事予算案を提出している。

タカ派の安倍政権が、安保法を支持または少なくとも黙認するよう大半の人々を仕向けるた め、反中国デマを飛ばすことに頼ったとしたら、こうした目論みはそれほど簡単でないことを 証明した。政府に反対する抗議運動は、近年では類を見ないほど広範囲に及び、戦争挑発者た ちに反対して展開された。抗議集会は、母親団体や保育士から労働者の集会に至るまで、何万 もの人々を繰り返し動員するとともに、学生たちが幅広い抗議行動を開始するなかで指導的な 役割を演じた。注目すべきことに、安倍政権に対する支持率は何年もの間きわめて高かったが、 2015 年夏の抗議運動の最盛期には 30%から 40%ほどに下落した。

昨年の 5 月、最初の抗議行動は小規模であったが、それは着実に大きくなっていった。そし て 7 月 15 日、政府が安保法案を衆議院で強行採決したときには、10 万以上の人々が国会議事 堂を取り囲んだ。安保法が成立した後でさえ、9 月 23 日には 25,000 もの人々が安保法に反対し て結集した。より小規模の抗議行動は定期的に続いている。目立った抗議グループである「自 由と民主主義のための学生緊急行動」(SEALDs)は、自身の目的を日本における「リベラル勢 力の結集」と言っている。SEALDs の若者たちは、国家のために犠牲にならねばならぬと説く ブルジョアジーの繰り言を拒絶している。そして多くは「平和な世界」を望むと言っている。

軍国主義へと向かう動きに反対する人々はたびたび、日本が第二次大戦で敗れた後に米占領 軍に課された戦後の日本国憲法の条項を根拠に議論を行う。憲法第九条は、日本が国際紛争を 解決する手段として武力を行使することを永久に放棄すると述べている。日本のブルジョアジ ーに反対する共産主義者として、我々スパルタシスト・日本グループ(SGJ)はもちろん、憲 法のいかなる反動的改正にも反対する。しかし我々は、こうした文書や他の紙切れの類いが「戦 争を阻止」できるという幻想とは真っ向から闘う。歴史上どんな資本家支配階級もいまだかつ て、自身の階級的利益が危険に晒されると感じるときに、自身の法律で暴力的な弾圧や戦争を 行わないよう抑制されたことなどないのだ。

抗議行動で支配的な政治は、自由主義や平和主義を超え出るものではないが、にもかかわらず帝国主義戦争への恐怖や政府への不信が広まっているのはよいことである。SGJ は幾つかの抗議運動に参加し、我々の出版物を売り、我々の見解について労働者や若者と議論してきた。そして、世界中の労働者階級が、日本帝国主義者から中国労働者国家を防衛する必要があると説 明し、軍国主義は資本主義支配に本来的に備わっており、社会主義革命によってのみ最終的に打倒することができると説明してきた。

自民党は安保法案へ人々を結集するため一連の活動を計画していた。ところが、賛同者よりも多くの抗議者を招くことになりそうだと知り、活動の多くを取りやめてしまった。新たな軍事化法に対する怒りは、安倍が沖縄で日本人戦没者慰霊の式典に出席し、ブーイングを浴びたときに示された。東京では 6 月 7 日、自民党幹事長である谷垣禎一が同様の激しい反発に見舞われた。こうした反対に直面して、政府は 9 月 16 日、軍国主義反対のデモ参加者に対して警官隊を差し向け、多くの人々を逮捕した。抗議行動の指導者である奥田愛基は殺害予告の脅迫を受けたと伝えられている。

安倍政権は以前の民主党政権(2009-12 年)の跡を継いでいる。その民主党政権は中国を標的 としながら軍備増強を推進した。最も注目すべきは、2012 年 9 月の日本政府による東シナ海の 釣魚台/尖閣諸島の国有化宣言だった。安保法は、中国との、あるいは同様に歪曲された労働 者国家である北朝鮮との、何らかの軍事衝突において、日本ブルジョアジーがその軍事力を米 帝国主義軍隊と連合して全力でさし向ける意志があるというメッセージである。この新たな法 律は、現在継続中の反革命的な日米軍事同盟強化の一部をなすものである。大企業の主要部門 は、主要な経営者団体による声明が示しているように、この問題に関して全面的に安倍を支持 している。共産主義者として我々は言う。安保法を打倒せよ!日本帝国主義を打倒せよ!

中国革命の獲得物を防衛せよ!

1949 年の中国革命は、東アジアの政治的状況をいまだに規定している世界史的な出来事であ った。この革命は貪欲な民族資本家や地主の支配を終わらせ、世界で最も人口の多い民族を帝 国主義の従属から解放した。女性のより広範な社会進出だけでなく、大衆の生活水準における、 そしてまた教育、健康、栄養における巨大な進歩は、とりわけインドのような依然として資本 主義のままにある他の貧しい国々と比較すると、集産化された経済が資本主義よりも優れてお り、歴史的前進を物語る生きた証拠である。

スターリニストの中国共産党に指導された農民ゲリラ軍が内戦 において軍事的勝利を収めた結果、1949 年の中国革命から誕生した労働者国家は、当初から官僚主義的に歪曲されていた。ブルジョア財産諸関係が粉砕され集産化された経済が確立される一方で、革命はスターリニストの民族主義的官僚体制を政治権力へともたらした。この体制は社会主義(階級なき社会)への発展の妨害物であり、他の地での労働者による革命的な権力奪取に反対しているのである。

ソ連邦は、1991-92 年に帝国主義に支持された反革命によって破壊されるまで、資本主義が打倒された諸国家の産業と軍事の原動力であり、従って米国率いる帝国主義列強の主要な標的になった。今日では、中国がそれら列強の反革命的企図において中心となる舞台を占めるに至った。我々は帝国主義と国内の反革命から中国を無条件に防衛する。そして、スターリニスト支配者たちを一掃するプロレタリア政治革命のために闘う。中国の獲得物の最善の防衛は、帝国主義中心諸国における労働者革命である。日本の支配階級は、19世紀末に帝国主義強国として登場して以来、中国を支配したいと熱望し続けてきた。今日この欲望は、東京とワシントンの支配者たちが 1949 年の革命を破滅させ、無制限の帝国主義的略奪 に向け中国を再征服しようと目論むなかで、倍加しているのである。

沖縄基地:中国に突きつけられた短剣

米帝国主義者は、近年、近東の泥沼状態で行き詰まりをみせる一方で、最新鋭の戦闘兵器の 一部をアジア太平洋地域に移動し続けている。重要な横須賀海軍基地は米海軍航空母艦の母港 である。日本政府は現在、米国と手を携え沖縄に新たな軍事基地を建設しようと着手しており、 中国を直接標的とする水陸両用の上陸作戦部隊を創設しつつある。そこで頻繁に持ち出される 口実は「尖閣諸島の防衛」である。我々は中国による釣魚台/尖閣諸島の支配を防衛する。そ してさらに、軍事施設を含めて中国による南シナ海での開発計画をも完全に支持する。この海域は帝国主義が中国を包囲しようとする試みにとって重大な焦点となってきた。このことは例 えばロバート・D・カプランのようなブルジョア・イデオローグたちによって認識されている。 「ドイツの地が冷戦時代の軍事的最前線をなしていたように、南シナ海の海域が今後数十年間 の軍事的最前線をなすかもしれない」(『南シナ海中国海洋覇権の野望』、2014 年)。2015 年の秋、米国は中国による新島建設への反対を露骨に示すため、横須賀基地を母港とする米駆 逐艦をスプラトリー(南沙)諸島の周辺海域に航行させ挑発した。

米国は、第二次大戦での勝利後、軍直属の沖縄軍政府を設置するため直ちに動いた(実際沖縄は、1972 年、つまりそれ以外の国土が返還されてから 20 年後になって、ようやく日本の民政へと返還された)。1940 年代の末、中国共産党軍が腐敗したブルジョアの蒋介石軍を駆逐しつつあったとき、米国は軍事拠点として沖縄を強化し、たびたび土地を直接接収することによって基地を建設した。こうした基地はまもなく、朝鮮そして後にベトナムの労働者や農民に対する反革命戦争で使用されることになったのである。

米国の軍事設計者たちは沖縄を長らく「太平洋の要石」と呼んできた。そして今日、中国に対する兵力増強の一部として、沖縄の軍事的重要性は、周囲の島々や諸小島とともに益々高まっている。現在、日本帝国主義は、米国と軍事 施設を一層共有するだけでなく、新たな軍事基地を建設することで、そのプレゼンスを増大させつつある。日本政府は、地元の激しい反対のなか、沖縄の辺野古に米海兵隊のために超近代的な基地を建設している。この新基地は今日、米国と日本がこの地域で襲撃や挑発行為をするための出撃拠点になると意図されているが、また将来的には日本の海軍基地となる可能性もある。

沖縄の軍事基地は、何十年もの間、沖縄住民による大衆抗議運動の焦点となってきた。抗議 運動は、地元女性に対する駐留米兵の女性嫌いの振る舞いや暴行事件によってたびたび引き起 こされたが、沖縄における軍事基地に対する反対は深いところに根ざしている。2015 年の夏、 東京で開催された自民党のある「勉強会」は、沖縄の 2 つの主要なブルジョア新聞の弾圧を公 然と討議して、抗議の嵐を呼び起こした。こうした新聞は支配的な基地反対の感情を反映して いるのである。安保法の成立はまた極右の軍国主義勢力を後押している。実際、新安保法が成 立した日の夜、ある暴力的右翼団体が、明らかに警察と共謀して、辺野古の基地反対の抗議者 たちを襲撃したのである。我々は言う。全ての米軍基地は出て行け!日米安保条約を打倒せよ! 太平洋の両岸における労働者革命を通じて日米の反革命的軍事同盟を粉砕せよ!

平和主義と抗議運動

日本では今日(米国も同様だが)、第二次大戦は米英の「連合国」が「民主主義」ために戦 った「ファシズムに対する戦争」であるという見解が広まっている。しかし、第二次大戦は、 第一次大戦と同様、植民地や市場や勢力範囲の支配のために戦われた帝国主義戦争であった。 遅れて帝国主義列強となったドイツ、イタリア、日本は、彼らがアジアとアフリカの分け前と 見なしたものから、すでにほぼ締め出されていた。

真のマルクス主義者たちは、第二次大戦においてどの帝国主義列強にも反対し、国際的な労 働者階級の連帯のために、そしてまた自国の資本主義支配者に対する革命的な闘争のために闘 った。同時に、我々の革命的な先達たちはソ連邦を帝国主義者たちから無条件に防衛した。さ らにまた、帝国主義者たちが互いの戦いに明け暮れている間、植民地に現われた民族独立運動 をも擁護した。これとは対照的に、1941 年 6 月にドイツがソ連邦に侵攻したのち、スターリン 主義化した共産主義運動の諸政党は愛国主義者であり、ソ連邦と同盟を結んだ資本主義諸国で の階級闘争に反対した。そして彼らは、これら連合国の帝国主義者たちが抑圧した植民地にお いて、民族解放と社会解放に向けた闘いを追求することに反対したのである。

1945 年 8 月、米国が広島と長崎に原爆を投下したとき、日本の敗北はすでに決していた。原 爆投下は、新兵器を見せつけてソ連邦を威嚇するためであり、それにより約 20 万もの人々が殺 された。この戦争と日本の敗北は、今日の政治においても重要な要素であり続けている戦争へ の深い恐怖と憎しみを、日本人の広範な層に植え付けた。その結果の一つとして、「平和憲法」 にたいし普及した強い愛着を依然として抱き続けている。ブルジョアジーが実際望んでいるの は憲法をすっかり改正することであるが、彼らは直ぐにそれを行うだけの十分な自信がない。 憲法改正には国民投票が必要となるだろう。こうしたためらいから、憲法の「解釈を変更する」 法律を成立させるという戦術が取られたのである。

1945 年に日本が敗北すると、力強い労働者の高揚が始まった。それは北海道(日本最北の島) の炭鉱にいた中国人と朝鮮人の捕虜や強制労働者たちのストライキによって引き起こされた。 大規模なストライキが勃発した。それによってある産業や地域に「生産管理」委員会が設立さ れた。この委員会は、工場を占拠し、様々な程度で生産の管理を行い、ブルジョアジーの所有 権に立ち向かう労働者委員会であった。こうした背景こそ、米占領軍が基本的に憲法を書き上 げ日本に押し付けたものである。

労働者は戦時中に物資の深刻な欠乏に苦しんでいた。そしてまた権力機構は敗戦によってす っかり権威を失っていた。従って、米占領軍の最優先事項は日本に秩序ある資本主義支配を確 保することであった。日本国憲法は当然のことながら私有財産を敬い定めた。そして重要な点 として、天皇制はアメリカの見せかけの民主主義的諸価値と名目上一致しないとしても、社会 的安定のきわめて重要な制度として維持した。ストライキの波が拡大するなかで、1946年1月、 連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサー将軍は、ドワイト・アイゼンハワー(米陸軍参謀 総長)に宛てた手紙のなかで、もし天皇制をなくせば日本は崩壊するだろうと記した。同時に、 米占領軍は日本が太平洋地域において米国支配に対抗し再度現れ出ることを防ごうと企図し た。そのために、日本国憲法は日本が「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」(第九 条)と規定したのである。

1945 年 9 月にストライキが勃発すると直ぐに、安定した労使関係の確立を目的として、占領 軍は日本人労働者にたいして新たな労働組合の権利を命じた。米国支配者たちはまた、1925 年 から共産党員を非合法だとしてきた抑圧的な法律を廃止し、生き残った左翼の囚人たちを日本 の地獄のような監獄から出獄させた。そして日本共産党は労働闘争において直ちに目立った役 割を演じ始めたのである。

しかし、共産党はその権威を利用して、ブルジョア「民主主義」を支持するという名目でス トライキの波を裏切ったのである。共産党は、日本がある種の半封建社会であるとの立場に従 って、「封建的諸要素」に反対しているという理由で占領軍を歓迎し、彼らが進歩的役割を演 じていると述べたてた。これは戦時中における連合国支持という共産党の方針を継続するものであった。もちろん、占領軍はまもなく方針を転換した。共産党が 1947 年のゼネストを裏切る とまもなくして、左翼と労働者の指導者たちを標的とした運動が始まり、1949 年から 51 年の 間に数万人にのぼる闘士たちが解雇されたのである。公務員労働者はこれまで戦闘的な労働闘 争の全面に立っていたが、1948 年の彼らへのストライキ禁止令は重大な処置となった。

この弾圧は中国革命後にエスカレートした。そして朝鮮戦争の間、共産党は追放され、党指 導部は地下への潜伏を余儀なくされた。こうした弾圧と、労働組合内での共産党の影響力を掘 り崩そうとする社会党との熱心な協力を通じて、戦闘的な労働闘争の波は敗北してしまったの である。1950 年にモスクワからの批判の後で、共産党は米占領軍への支持を過去に遡り拒否し た。しかし共産党が「民主主義」という名目でブルジョア勢力を政治的に支持することは依然 として共産党の綱領である(同様にこうした支持は依然として日本や世界中の他の社会民主主 義的改良主義者たちの綱領でもある)。

共産党は今日、憲法が帝国主義戦争を防止することができるとか、国民運動が平和な日本を 実現できるといった、広く流布した見解を押し出すため忙しく活動している。こうした幻想は 労働者階級にとって致命的である。帝国主義と軍国主義は資本主義制度に本来備わっているも のである。帝国主義戦争を終わらせるためには、一連の労働者革命が必要なのである。この労 働者革命は生産手段を資本家の手から奪取し、国際的な計画経済を確立するだろう。

1949 年の中国革命の後で、米国の対日方針は 180 度転換した。日本は、それまで太平洋地域 における経済支配にとって主なライバルと見なされたが、アジアにおける「共産主義の脅威」 を阻止する米国主導のキャンペーンの主要な同盟国となった。従って、米占領軍による指令に 基づいて、日本政府は朝鮮戦争中の 1950 年に自衛隊の前身部隊を組織したのである。帝国主義 間対立は実際決して根絶することはできない。しかし、中国とソ連邦に対し、そしてまた朝鮮 やベトナムで実際に勃発したようなさらなる反資本主義の動乱の脅威に対し、帝国主義は結束 した。帝国主義間対立はこうした結束に従属したのである。日本が朝鮮戦争で米軍の物資補給 係になったとき、戦後の経済復興は実際始まった。政治的レベルでは、反共協力が今日に至る まで日米諸関係における主要な要素であり続けている。

ブルジョアジーに対する階級闘争を!

政府は、安保法を強行採決する数日前、労働者階級に対する重要な経済的攻撃を国会で可決 した。それは臨時雇用の労働を一層拡大させる法律であった。こうした法律は、特定の業務に 従事する臨時労働者を雇う企業にとって、期限を撤廃するというものである(それまでは 3 年 という上限が設けられていた)。それは、諸手当、より安定した雇用や労働組合の権利を有す る常勤労働者に代わって、臨時労働者の使用を益々促進するものである。小規模な抗議行動が 起こり、労働者の間でははっきりとした怒りがあった。しかし労働組合の上層官僚たちは、労 働者と経営者との「国益」の共有といった嘘に執着し、こうした法律に対する何らの真剣な反 対運動も行わなかった。

それと同時に、新しい戦争法に反対するデモには、多くの抗議行動で組合旗を掲げる労働者 が出てきた。安保法に対する反感は、造船や鉄鋼といったいくつかの戦略的産業で示された。 最大の労働組合全国組織である連合に加盟するいくつかの労働組合は抗議声明を出した。その 一方で、共産党指導の全労連に加盟するいくつかの労働組合では、安保法に反対する政治スト ライキを宣言する権限を組合指導部に与えるため正式に票決した。

全労連加盟の約 17 万人を有する医療組合は、もし戦争が勃発すれば組合員は直ちに直接巻き込まれると述べることで、安保法反対を促した。全労連加盟の全日本金属情報機器労働組合 (JMIU)(組合員数約 9,000 人)は、ストライキの呼びかけを承認する票決を行い、また全国 各地で職場集会を行い、その職場では未組織労働者も集会に参加した。明らかに組合下部から の圧力がきわめて強かったに違いない。共産党の機関紙『赤旗』はある労働者の言葉を引用し ている。「組合から行動が提起されると待っていた」。しかしながら、3 つの労働組合連合(上 で述べた 2 つの組合連合に加えて社民党と結び付いた全労協も存在する)の階級協調主義的官 僚たちは、労働者階級の力を実際動員することに断固として反対しているのである。こうして、 JMIU の指導部は 9 月 9 日に、何十人かの労働者を巻き込んで、一つの会社で 30 分ほどの形だ けの「ストライキ」を宣言した。この行動では、戦争法と労働者派遣法を阻止せよという要求 が掲げられた。

労働組合の頂点にいる改良主義指導部は政治的に打ち破らなければならない。革命家は階級 闘争と資本主義支配者に対する政治的反対という綱領に基づいた新たな指導部に向けて組合内 で闘わなければならない。安保法に対する反感は、資本家階級とその軍事機構に対する階級闘 争に労働者階級を動員することへと向ける必要がある。小規模だが力強い例は 2001 年に佐世保 港で起こった労働者の行動であった。この時、全港湾(全日本港湾労働組合)に組織された約 200 人の港湾労働者は、アフガニスタンにおける戦争で米帝国主義者の支援に向かう日本海軍 への軍事物資の積み込みを拒否した。こうした国際連帯の行動は、ブルジョア階級の支配を破 壊する労働者階級の力を理解するのに注意を喚起させるものである。

革命的指導部のための闘い

中国における日本のビジネス上の利益が危険にさらされるという見地から、現政権の取る攻 撃的で軍国主義的な反中国路線に反対する一部ブルジョアの意見がある。こうした傾向は主と して民主党に代表されるが、しかしまた丹羽宇一郎(伊藤忠商事の元社長で前中国大使)や自 民党のかつての重鎮である古賀誠のような人物も含まれている。現在彼らは政府の政策に直接 的な影響をほとんど及ぼしてはいないが、こうした状況が変化する可能性もある。実際、民主 党は自民党に劣らず軍国主義的であるが、しかし「専守防衛」などというつくり話の方を好んで主張し、米国による広範囲に及ぶ軍事衝突に巻き込まれるようになるのを恐れている。従って民主党は、右翼ブルジョアの「維新の党」と共に、軍事化法案を先の国会に提出し、中国を標的として、日本の周辺海域での自衛隊と海上保安庁との連携を強化しようとしているのである。

ブルジョア政治で右に位置づく何人かの者は、憲法改正を公然とやろうとしてないという理由で、安倍を批判している。彼らは、例えば慶応大学教授の小林節といった学者たちに代表される。小林は、安倍の手法が「法的不安定性」をもたらしていると懸念している。すなわち、どんな政府も、(安倍が行ったように)その気まぐれによって憲法「解釈」を変更できるかもしれないという懸念である。共産党は、民主党と連合しようとするだけでなく、憲法を変更する安倍に対して共に反対しているという点に基づき、あからさまに親軍国主義の学者たちとも連合しようとした。政府が新安保法を成立させたその日、共産党指導部は、ただこの法を廃止するという目的で、新たな「国民連合政府」の呼びかけを行った。この呼びかけには選挙協力の提案も含まれている。

SEALDs もまた「野党勢力の結集」を積極的に押し出している。そのために、彼らは、11 月 19 日、民主党、共産党、そして露骨なネオリベラル政党を含む野党 5 党の党首らと協議を行っ た。マルクス主義の用語では、これは人民戦線である。人民戦線とは、改良主義的労働者階級 のグループとブルジョア政治組織の双方を含む連合のことであり、資本主義政府を担うことを 目的としている。当然にも、こうしたどんな階級協調主義組織の綱領も、資本主義の綱領にな るのをブルジョア分子たちは保証するだろう。

共産党は、こうした欲求を追及するなかで、もし共産党が政権への参加が認められれば、日 本帝国主義を全面的に支持するとブルジョアジーに請け合っている。従って、共産党委員長の 志位和夫は、ブルジョア日刊紙の『日本経済新聞』(10 月 3 日)での主要なインタビュー記事 で、日米軍事同盟に反対するいかなる行動も取らないと確約したのである(一方で共産党の綱 領には日米安保条約の廃棄が謳われている)。志位はさらに確約して言う。「天皇制度とは共 存していく。心配いらない」。共産党は、これまで機会があるたびに、「私たちの」自衛隊の 部隊が「危険な状況下」に置かれるのを望まないと繰り返し表明してきた。すなわち、自衛隊 はただ日本のみを「防衛」すべきであり、「米国の戦争に巻き込まれない」ようにするべきで あると。こうした調子で、共産党党首の志位は 2015 年 6 月、抗議運動が重大な局面を迎えた時 期に、外国特派員協会で記者会見を開き、「私たちが政権を担ったとしても、自衛隊との共存 の関係が一定程度、一定期間、続くことになります」と力説したのである。

中核グループは共産党の左に位置するポーズを取り、共産党の社会愛国主義的な言明に対し て反論を繰り広げてきた(『前進』、6 月 6 日)。中核グループは釣魚台/尖閣諸島が「日本 の領土」だという共産党の立場を攻撃している。そして、共産党のこうした立場が、さらなる 軍事化を正当化するものとして「中国の脅威」なるものを利用する点で、安倍と同列であると 正しくも記している。しかしながら、中国労働者国家の防衛という立場を取ることなしにこう した事実を指摘することは、日本帝国主義への屈服に他ならないのである。

中核グループはまた、資本主義の私有財産と反動的な天皇制を敬い定めている日本国憲法が ブルジョアのものではないという立場を押し出している。彼らは、9 条に代表された日本国憲 法が「戦後革命の敗北とひきかえに彼ら支配階級に強制された、革命の副産物であった」(『現 代革命への挑戦』、2014 年 10 月)と言っている。そしてさらに、自民党が何十年もの間なそ うとしてきた憲法改正という目的が、「資本の絶対的な専制支配を確立する」(同上)ためで あると主張している。あたかも現行の体制が何か別の階級的性格を持っているかのようであ る!中核グループは時おり「革命的」な誇張表現を使うが、それは彼らの真の綱領をあいまい にするための見せかけに他ならない。彼らの綱領はただ憲法擁護のために闘うことであり、そ れはまた共産党の中心的な関心事でもあるのだ。

改良主義に対する政治闘争において、必要なのは革命的労働者党である。こうした党は、労 働者階級や若い抗議者たちを、軍国主義を打倒し帝国主義の力を打ち砕くには労働者革命以外 に道がないという理解へと勝ち取るために闘うだろう。この労働者革命こそ、階級として資本 家たちを収奪し、国際的な計画経済の建設の一部として労働者国家を打ち建てるだろう。こう した国際革命という綱領は、1917 年 10 月のロシア革命と V・I・レーニンやレオン・トロツキ ー指導下での初期の共産主義インターナショナルを活気づかせたものである。これこそ我々の 伝統であり、我々が今日依って立つところの綱領である。第四インターナショナルを再度鍛え 打ち固めよ!