2001年9月15日

国内の弾圧、帝国主義の「報復」に反対せよ

世界貿易センターへの攻撃

スパルタシスト同盟/米国政治局の声明




 我々は、ニュ−ヨ−クシティにおける世界貿易センタ−への最近の攻撃に関して、国際共産主義者同盟(第四インタ−ナショナリスト)米国支部の政治局による声明を以下に発行する。この弁護の余地のない犯罪行為にたいする日本のブルジョアジ−の反応は、米帝国主義によって行使されると思われる「報復」のいかなるそしてあらゆる流血の行為を前もって支持したことである。日米安保条約の「新ガイドライン」による変更を利用するなかで、日本の軍事船はすでに日本近海をパトロ−ルし、あらゆる「身元不明船」の船上での取調べを行うと脅している。これは究極的には、中国と北朝鮮の歪曲された労働者国家に対して向けられた危険な挑発行為である。防衛庁長官の中谷は、自衛隊を国連が占領した東ティモ−ルに派遣するのを交渉するためちょうどインドネシアから帰国したが、彼は、日本の軍隊が国際的にも国内的にも行動に向け動員することができるように、憲法の改正を押し進めている。我々は、日本と米国の帝国主義間における反革命軍事同盟を労働者革命を通じて粉砕するよう呼びかける。

 国際的に、帝国主義者は全て米帝国主義の下に結集したが、彼らは自身の抑圧的な国家機構を強化するための口実としてこの爆破を利用しようとしているのである。現在の統一という外観の下で、主要な帝国主義強国である日本、米国、ドイツの間には増大する対立が存在する。彼らは、影響圏と世界の市場と資源、特に石油の支配に向け、相手を出し抜いて有利な位置を占めようと画策している。そしてこうした緊張は、世界の景気後退が深まるなかで、加速するにすぎない。

 日本において、資本家階級は、緊縮政策から社会の抗議と不満を逸らすため、またさらに1万人の警察官の増員要請を押し進める口実として、テロの恐怖を駆り立てたいと望んでいる。過去数ヶ月間に、労働組合事務所や左翼の事務所が警察の急襲を受け、全国の在日朝鮮人が公安の監視下に置かれている。また移民労働者が拘留センタ−で殴られ殺されている。さらに多くのキャンパスでは、警官とガ−ドマンが学生自治の最後の痕跡を破壊するのに動員された。日本帝国主義こそ、南京の強姦者、慰安婦奴隷化の実行者、731部隊の製造者であり、日本とアジア一帯における労働者の主要な抑圧者である。

 日本の民族主義はイデオロギー的にも軍事的にも自己を主張しつつある。小泉の靖国神社参拝、文部科学省による反動的な教科書認定、ブルジョアジーによる憲法第九条改正の要求は、日本の旧植民地へのメッセ−ジであり、また帝国主義対抗者へのメッセージである。つまり日本帝国主義は、「敗戦国」症候群を克服するため積極的キャンペーンに乗り出しているのである。

 改良主義の左翼は、軍国主義の米帝国主義者とは違って、日本資本主義が平和的な道を追求することが可能であると信じている。彼らは、米国が世界第二位の強力な帝国主義国である日本を「干渉戦争」の一つに「引きずり」込むと泣きごとを言っている。日本共産党の選挙パンフレットは、日本が完全に「アメリカいいなり」だと悲鳴を上げ、「自主・平和の国づくりを」と呼びかけた。革マルは、米国が「日本政府にたいして『力の分担(パワー・シェアリング)』の名のおいて軍事要求を次々と突きつけている。」と書いた。(第39回国際反戦集会にむけた海外アピール)こうしたグル−プの反米主義は「反帝国主義」ではなく、より独断的な日本帝国主義に適合している。それは客観的には、労働者大衆に対する日本の支配階級によるイデオロギ−支配を強化するものであり、ブルジョアジ−の公然たる報復主義的翼の手の中でその役割りを演じることである。こうした翼はまた、強力で独立した日本帝国主義国家を呼びかけている。

 反対に、我々トロツキスト国際主義者は、階級の線を引く。つまり自国の資本主義支配者に反対し、世界社会主義革命に向けた闘争において海外の階級的な兄弟姉妹と連帯する。この世界社会主義革命は迫り来る世界戦争への唯一の解決策である。我々は、我々の同志による声明を発行することを名誉に思う。彼らは、困難な状況の下でまた傷ついて危険な帝国主義の獣の巨大な破壊力の中から、この声明を書き上げたのである。



 9月12日―昨日、何百人もの乗客と乗員を殺した民間航空機のハイジャックによって実行された世界貿易センタービルへの攻撃は、弁護の余地のない犯罪的なテロ行為である。世界貿易センタービルは、米帝国主義の富と全体的な力の象徴と見なされるかもしれないが、そこにはあらゆる人種、民族、宗教に属する労働者が雇われていた。平日の午前9時には、交通、建設、事務所、そして他の数えきれない仕事場で働く何千もの労働者が、ツィンタワーの間を通ってあるいはその付近を歩いていた。

 単純にこの標的は、残虐的で殺人的な米帝国主義支配者を象徴する機関ではなかった。この恐ろしい攻撃の実行者たち(それが誰なのか全く何の証拠もないが)は、人種差別主義の米国支配者と同じ考え方を抱いている。彼らは、労働者大衆を資本主義の搾取者や抑圧者と同じものと見なしているのである!

 支配政党の民主党員や共和党員は全て、資本主義の階級支配を強化するために、殺され傷ついた人々の身体を巧みに利用できるように熱心に振る舞っている。搾取者が「不可分の一国家」という愛国主義を押し付ける好機なのである。そしてこの愛国主義は、社会の底辺での急増する怒りを、搾取者自身から逸らせ、漠然とした外国の「敵」や国内の移民に向けようとするものである。さらに搾取者が全ての労働者に対して彼らの国家弾圧の武器庫を強化する好機でもある。これは特に、何十万もの仕事がさらに切り縮められつつあるなかで、都合のよいことなのである。膨大な貧困、悲惨、全面的な後退の上にこの仕事の削減が付け加わっている。こうした状況は、労働者階級、マイノリティ、貧窮者に給付をもたらした社会プログラムの破壊とともに、過去10年に亘って米国の支配階級によって創り出されたのである。

 議会からの完全な超党派による支持とともに、共和党大統領ブッシュが、ペンタゴンの戦争機械をテロ攻撃に備え、またテロリストを「かくまっている」と言われる国々の人々に対するいっそう激しい攻撃に備えるなかで、課題は「国旗の下への結集」ということである。ケニヤとタンザニアにある米大使館の爆破の後、こうした「報復」がアフガニスタンへのそしてスーダンの薬品工場への80 発にのぼる巡航ミサイル攻撃となった。それ以前、1991 年にはイラクに対する全力の戦争が行われたが、その戦争は定期的な米の爆撃によって続いている。その一方で、150万以上のイラクの人々が国連の飢餓封鎖によって殺されているのである。資本主義のメディアは、大見出しで「真珠湾」を思い起こさせている。しかし米帝国主義こそ、1945年、広島と長崎で25万人を焼死させるのに原子兵器を用いた最初のそして唯一の国である。

 帝国主義の獣の腹の中にいる共産主義者として、我々は、海外での米支配者による戦争目的と軍事的冒険に反対するなかで、国内の労働者を動員するために闘う。我々は、湾岸戦争の間そして引き続くテロ爆撃に直面するなかで、米帝国主義に対しイラクを軍事的に防衛する立場に立った。さらに我々は最初から戦争行為である飢餓封鎖に反対した。2年前、セルビアの全下部構造を破壊した米主導のNATOによる攻撃に直面して、我々は、労働者革命を通じて米帝国主義を打倒せよ!セルビアを防衛せよ!という旗を掲げた。イラクとセルビアの場合において、我々は、労働者を抑圧する血に染まった民族主義政府を打倒することがこうした国々の労働者の任務であると主張した。

 世界貿易センタービルへの攻撃の後で、様々に作り上げられた「事件」が、ブルジョアメディアの中で急速に猛烈な勢いで飛びかっている。ペンシルバニアで墜落した飛行機はキャンプデイビッドに向かう途中だった(彼らはどのように知ったのか?)とか、爆弾がワシントン記念碑に仕掛けられていたとか、軍隊がワシントン,D .C .の上空で飛行機を撃墜したとかの話である。こうした話は報道されるとすぐに殆ど全て消え失せてしまった。それは、ちょうどでっち上げのトンキン湾事件のように、標準的な帝国主義の戦争宣伝である。米国はベトナムに対する戦争をエスカレ−トするためにこの事件を利用した。この戦争で米国は、ベトナムの英雄的な労働者と農民が怪物アメリカを打ち負かすまでに、300万人を虐殺した。

 世界貿易センタービルへの攻撃は、パレスチナ解放民主戦線、ハマスのようなイスラムグル−プ、アフガンのタリバ−ン政府、オサマ・ビンラディンのせいにされている。この全てがいかなる責任をも猛烈に否定している。しかしたとえ現在米帝国主義の全目的にかなう敵ビンラディンの仕業であるにせよ、彼は米帝国主義支配者の産物である。帝国主義支配者は、アフガニスタンにおけるソビエト軍に対するイスラム「聖戦」のために、彼の奉仕を買い付けそれに支払ったのである。我々はアフガニスタンへの赤軍の介入を歓迎した。そしてこれはソビエトのスタ−リニスト官僚による数少ない真の進歩的行為の一つだと述べた。我々は、特にアフガニスタンの残酷に抑圧された女性にたいし、1917年のロシア革命の社会的獲得物を拡大する可能性について言及した。ビンラディンとそのCIAに後押しされたイスラム原理主義者の目的は、アフガニスタンで残虐な行為と奴隷化を実行することだった。

 しかし資本主義の支配者たちが残虐に弾圧を強めようとしているのは、単に見かけ上いたる所に存在する確認できない「外の敵」だけではない。彼らはまた、世界貿易センタ−への攻撃の機会をつかみ、「内なる敵」に対して警官や裁判所や監獄や軍隊といった国家の力を急激に増大するだろう。1995年のオクラホマシティの爆破の後、クリントンの民主党政権は、「総合的な反テロリズム法」を制定した。この法の下で移民やあらゆる「外国人」を、いかなる告訴も提出されない秘密の裁判ででっち上げの訴訟手続に従わせることができる。共和党員の全面的な支持で、民主党員はさらに、多くの犯罪を死刑に処すことができるよう巧みに拡大した効力ある死刑法を制定した。

 こうした排外主義の病的興奮が高まっていくなかで、弾圧勢力の最も直接の標的はあらゆる近東出身の人々である。これは、単に米国だけでなく、西ヨーロッパでも同様である。例えばフランス政府は、地下鉄を準軍事的警察部隊で溢れさせ、北アフリカや近東出身の人々を恐怖におとしいれている。より本質的なことを言えば、こうした目的は、多人種の労働者階級を脅し、いかなる社会的闘争からも抑え込むことである。確かに、ブルジョアジ−の労働副官であるAFL-CIO官僚たちは、労働者をその抑圧者の政党、特に民主党に結び付けており、この点で彼らの最善を尽くしている。しかし、労働者への益々残酷な搾取から利益を得ている一握りの大金持ちと社会の他の人々との間のギャップが急激に拡大するなかで、支配者たちは、わずかな抗議行動でさえ大きな社会不安を引き起こしかねないことを恐れている。国内の弾圧勢力を増強し続けることが、彼らの階級支配を維持するのに決定的である。支配者たちは、こうした弾圧勢力をひどく抑圧されたスラム街やヒスパニック大衆に対して長らく展開させてきたのである。

 資本主義の搾取と抑圧に代わるものを実際表わした官僚主義的に堕落した労働者国家旧ソ連邦の反革命による破壊とともに、米国は「世界で唯一の超大国」であることを自慢した。そしてその帝国主義支配者は、彼らが世界の他の国々に対しいばり散らすなかで、なんらの挑戦にも直面することはないと考えた。恐らく何千人もの罪もない人々の命が失われた世界貿易センタービルの破壊が、世界中の多くの人々により熱心に歓迎されうるであろうことは、アメリカ帝国主義に対する嫌悪がいかに強いかを表わしている。さらにアメリカ帝国主義を内側から打ち負かす可能性がほとんど知覚されていないことも表わしている。ウォール街やワシントンを支配する者は、多くの黒人、ラテン系アメリカ人、そして増えつつある近東、インド亜大陸、東アジアからの移民労働者を含む米国の労働者階級によって、内側から一掃することができるし、また一掃されなければならない。

 この国の臆病な改良主義の「左翼」、とりわけ国際社会主義組織(ISO)に代表される「左翼」は、冷戦中におけるオサマ・ビンラディンやアフガニスタンのタリバ−ンへの米支配者たちによる支援を指摘している。ISOが言わないでおくのは、彼らがソビエト赤軍に対してこうした反動勢力を支持していたことである。ヨーロッパでは、かつて「極左」と呼ばれたグループが、その政治的魂を「自国」ブルジョアジーに売り渡してしまった。彼らにとって、「主要な敵」として米帝国主義をののしることは、労働者階級に対し大規模な緊縮政策を実行するため成立した社会民主主義政権への忠誠を示す口実でしかない。

 新植民地主義諸国では、大多数の人々がプチブル民族主義の完全な破産に直面しているが、そこでは宗教的な反啓蒙主義、とりわけイスラムの成長が起こっている。アメリカ帝国主義者の軍事力また彼らが資金を出し武装させる大量殺戮のシオニスト支配者に直面するなかで、ある人々は、目に見える抑圧者に対し、自らの体に爆発物を縛り付け自爆攻撃をする以外になすすべを見い出せなくなっている。

 世界貿易センターへの自殺的攻撃の実行者がたとえ誰であれ、この攻撃は、全ての「不信心者たち」を皆殺しにする神の使命を持つと信じる人々、一般的には宗教的狂信者の考え方を実証した。こうした熱狂的イスラム教信者は、労働組合員、左翼、ベールを脱いだ女性を神の罰を受けるに値する当然の不信心者だと見なしている。本質的には、彼らの考えは、米国で中絶クリニックを爆破するキリスト教原理主義の偏狭者たちのものと何らの違いもない。国内の秘密警察FBIは、最近までルイス・フリーに率いられていたが、彼は真に邪悪なカトリックのオプス・デイのメンバーである。また彼らの考えは、ファシスト的なシオニストとのものと何らの違いもない。彼らは、ユダヤ人の「聖地」と思われる土地からパレスチナ人を「浄化」しようとしているのである。

 テロリストによる爆破は、民族主義勢力か宗教的勢力によって実行される傾向を持っている。なぜなら彼らは、自分たちが敵と見なす人々全てに対して、せいぜい無関心か悪くすれば敵対的でさえある。世界貿易センターへの攻撃は、出来る限り多くの人々、つまり普通の、多民族の、働く人々の無差別殺戮を狙ったものであり、そうすることを可能にしただけのものだった。

 マルクス主義者として我々は、戦略としてのテロリズムに反対する。それが、真のしかし誤って指導された反帝国主義の衝動に由来するものであれ、真に国家の抑圧機関を標的と見なすものであれ反対する。世界貿易センターへの攻撃は明らかにこうした場合によるものではなかった。個人の行為を代用することは、たとえそれが特殊な状況の中でいかに英雄的なものであっても、プロレタリアートの階級闘争に対置されたものであり、もし労働者階級が帝国主義の搾取と抑圧の全体制を革命的に打倒するなかで全ての被抑圧者の先頭に立つならば、それが必要とする意識に対置されたものである。反対にこうしたテロリズムは、主要に、ブルジョア国家が弾圧を強化する口実を与えることに奉仕するのである。

 ソ連邦における資本主義反革命の後で、米帝国主義の支配者たちは、「神を認めない共産主義」に対する戦争に代って「イスラムテロリズム」の亡霊の中に代理となるものを見出そうとしてきた。これこそ彼らが人々を結集しようとしてきた新たな外部の敵である。そして彼らは、海外での帝国主義のテロにたいする大衆の支持を増進させるために、世界貿易センターへの攻撃を利用しようと企図している。さらに彼らは、米国の労働者が資本主義の搾取者と共通な利益を持っているという嘘を促進するのである。我々は言う。アメリカ帝国主義は世界から手を引け! 主要な敵は国内にいる! 我々の目的は、プロレタリアートの、国際主義による、革命党を建設することである。この革命党は、労働者階級に、米帝国主義の墓堀人としてその社会的力と歴史的利益の理解を注ぎ込むのである。